2013年11月18日月曜日

歌野晶午「密室殺人ゲーム 2.0」:それはミステリにしかない文体で書かれた物語

前作「密室殺人ゲーム 王手飛車取り」に続いて、続編「密室殺人ゲーム 2.0」を読んでみる。

書かれていることは見た目通りでないのが歌野ミステリーの常である。
今回もその鉄則は生きている。

前作、非常に気になる終わり方をした密室殺人ゲーマーズ。
それが何事もなかったようにゲームの続きが始まったりして、おいおい、と思うわけだが、これだって作者の巧妙に仕掛けた罠だ。

僕は島田荘司ミステリの愛好家である。
どこまでも人間を描き込んでいく筆運びのその同じ筆で、うひゃー、と声が出そうな奇想天外で大仕掛なトリックを作品に持ち込む。
このギャップが島田作品の醍醐味だが、「密室殺人ゲーム」シリーズではそのうひゃー、が極めて自然に作品に入り込める仕掛けになっている。

だからもう思う存分、ミステリファンのお好みの密室、アリバイ、その他諸々のミステリ・ガジェットを盛り込んでくる。

ブンガク、としてではなく、ミステリというジャンルでの「文体」をどこまでも追求していこうという意志を感じる。
だから手練のミステリ読みほど面白いと思うのだろう。

僕は、と言えばこのあたりでお腹いっぱいデス。

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