2015年2月3日火曜日

セプテンバー・ラプソディ:サラ・パレツキー

サラ・パレツキーのV.I.ウォーショースキー・シリーズ第16作「セプテンバー・ラプソディ」
絶好調なのである。

シリーズ最長にして、間違いなく最高傑作の登場と言いたい。


セプテンバー・ラプソディ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
サラ パレツキー
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不思議なことだが後半を読んでいて、なんとなくCDをバッハの無伴奏チェロにしなくては、と思った。
CDを換えると、まもなく物語の中でも同じ曲が流れ始めた。

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この曲は、16世紀の繁栄の後、宗教的な対立がヨーロッパの歯車を狂わせていった時代に、そのような人間の欲得とは無縁のところにバッハが打ち立てた金字塔だ。


この物語にうずまく本当にいろんな形の「エゴ」と、純粋な学問への「愛」のどうしようもない交わらなさ、にその対比はよく似ている。

人間は理解し合うことが絶望的に難しいからこそ、超越したものに憧れるのだろうか。

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