2014年7月2日水曜日

映画「ルームメイト」:物語のミスリードと映像のミスリード

映画「ルームメイト」をDVDにて鑑賞。
もちろん北川景子を観るためである。

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思いのほか、本格的なサスペンス/ミステリであった。
原作は、今邑彩さんの小説で、漫画化もされているようだ。

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ミステリには、映像や漫画にされると、読者へのミスリードがうまく働かなくなる種類のものがある。
今邑彩さんの「ルームメイト」もそのひとつなのだが、本作では二人の女優をうまく使ってそこをクリアしている。
だからやはり見どころは、と問われれば、北川景子と深田恭子の女優としての質の違いに集約される、と答えるだろう。

北川景子は、どんな役をやってもどこかに北川景子そのものを映し出しながら役を演じる。
「謎解きはディナーのあとで」のお嬢様も、「死刑台のエレベーター」の警官の恋人も、「悪夢ちゃん」の先生もどこから見ても役を纏った北川景子なのである。

一方、深田恭子という女優には、役の中に“ワタクシ”が入り込まない。
「夜明けの街で」での深田恭子はあくまでも秋葉なのであり、「ヤッターマン」に出れば、やっぱりコスプレを超えてドロンジョ様そのものになってしまうのである。

その深田恭子の本作での複数人格の演じ分けの見事さといったら!
人格の揺らぎは、この映画のコアであり、そのように瞬時に複数人格を行き来するのを、最後、北川景子が、その実在感ですっぽり受け止める、という構造になっている。
いわば、小説特有のミスリードの手法を捨て、映像ならではのミスリードに切り替えているのだ。

キャスティングの妙で見せる映画である。


もうひとつ付け加えるなら、映画の後の主題歌がいい。
とてもいい。
完全にこの映画の一部となって、気になるその先の彼らの運命を、“余韻”として引き受けてくれている。

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